コラム

私と寫眞 第三夜 「スマホとカメラとかげと」 Part1

auther : 営業開発部 佐藤芳孝

携帯電話にカメラがついて何年が経つだろう。
カメラのついていない携帯電話を見つけるのが難しいほどに普及したカメラ付き携帯。
カメラの性能も格段に向上し、今やカメラのおまけに電話機能が付いているような状態。

自他共にカメラ好きを認める私において、スマホのカメラを手にしても、シャッターを切りたいというインスピレーションが沸いてくることは皆無。

一眼レフの醍醐味として
・シャッタスピード
・絞り
・画角

この3つが自由にコントロールできることが挙げられる。
これらを組み合わせることで、様々な表現が可能になるのだ。
特にボケのコントロールは大きな撮像素子と大口径レンズによってもたらされる大きな特徴である。(最近はスマホでもソフトウェア処理でボケの表現ができるけど)

それに対し、私の使っているiPhone7のカメラスペックは

センサー
画素数:1200万画素
サイズ:約1/3型 裏面照射型CMOSセンサー
ISO感度: 20~6400相当

レンズ
明るさ:F1.8固定(6枚構成)
画角: 75度(35mm換算で28mm相当)

私が普段使っているライカ判カメラの36×24mmというセンサーサイズに対し、iPhone7のそれは、4.8×3.6mmという米粒のようなセンサー。
これではいくら裏面照射型とはいえ、ダイナミックレンジも高感度耐性も期待はできない。

しかも、絞りもシャッタースピードもほぼオートで、マニュアル的な介在をし辛いため、表現力の幅が狭まらざるを得ない。

しかし、本来写真というものは、カメラでもレンズでもなく、一枚のイメージという制約の中で被写体の抽象的な部分を表す美を模索することだ。

そのためには道具の良し悪しは関係無く、その道具を最大限に活用して一枚のイメージを表現する。
それが写真である。

カメラには、像を写すという機能以外に、官能的なレリーズ音やメカニカルな振動、目の覚めるような光学ファインダーなど、機械好きな男子の琴線に触れるギミックが数多くある。
そのような所有欲を満たしてくれるのも、カメラの醍醐味である。

スマホのカメラにはそのようなカメラを操る楽しさは一切無いが、目の前の物すべてに意識を向け、カメラの特性を生かした表現と物を見る目を養うため、スマホでも写真と向き合ってみることにした。

狭いダイナミックレンジを活かす

iPhoneの狭いダイナミックレンジを活かすには、明部を捨て、暗部を中心とした使い方が好ましいと思っている。
というのも、iPhoneのレンズとセンサーでは露出を上げれば上げるほど、コントラストの低下が著しく、霧の中のような写真になってしまう。
そのため、明暗差のある被写体に対してはローキーに振ることで、高輝度部分の白飛びを活かしつつインパクトのある絵が作り出せる。

雑居ビルの通路の先に人が立っている。
明部に露出を合わせることでローキーになり、スポットライト効果を生み出した。

特徴的な模様の壁がある通路に高架による影ができている。
ローキーにすることで影を強調。
そこに原色のTシャツの青年が通りかかり、ひとつのアートが誕生した。

オフィスビルの庭園に咲く芝桜。
昼下がりの強い光が差し込んでいるが、白い石に露出を合わせることで芝桜を効果的に浮き上がらせた。

古民家の夏。
光の入りずらい古民家では明暗差が大きく出る。
屋外に露出を取ることで、畳や木材の質感を浮き上がらせる。

ハイキーに振った例

強い光がバックにあるため、紅葉に露出を合わせると、空は完全に飛び、全体的に靄がかかったような写真となってしまう。
iPhone7でコントラストを保ったハイキー写真は難しい。

構造物を撮る

東京には様々な造形のビルや建物が多数ある。
その直線的な構造を活かし、目を引く構図を探したい。

IKEAの倉庫のような巨大家具売り場。
シンメトリーに構図を構え、銀残し風な色合いにすることで、少しサイバーな雰囲気を表現。

歩道橋から見下ろす幹線道路。
こちらもシンメトリーにし銀残し風にすることで、コントラストの高い特徴的な写真になった。

巨大な商業施設、GINZA SIX。
低いアングルから煽ることで、特徴的な造形と大きさを表現。

同じく GINZA SIXを別の角度から。
ミラーになっている外壁に反射する太陽、そこに露出を合わせ、空のリフレクションとG SIXのロゴを厳かに浮かび上がらせた。

またまた GINZA SIX。
柱で額縁構図を作り、ショップの前に停まったクラシックカー(光岡だと思うけど)をシックに表現した。

NECスーパータワーをオブジェと一緒にモノクロで。
曇天の時は空が飛んでしまうので、モノクロームにすることで、造形を強調。


Part2へ続く(キートン山田風)

※ほぼすべての写真で感度が異常に高いのは謎です。感度を下げればもっとダイナミックレンジが広くて低ノイズの写真が撮れるはずなので、今後の課題です。




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